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「クッククク」

梨華の笑い声が不気味に部屋に響く。

その笑い声の中、裕二は硬直していた。

周りにはマー君の衣装を着た何者かが何人も立っていた。

だが、裕二にはわかっていた。

顔が見えなくても--。

全て俺の彼女だ。

そう、俺はわかっていたんだ。

俺はオークションに無意識のうちに、自分自身を競りに出していたんだ。

何人もの女と中途半端に付き合っていたのはきっと「選んで」ほしかったんだと思う。


誰かに自分を好きになってほしく、結局自分は何もしない。

付き合おうと言ったのも俺じゃあない。

俺はただ「待っていた」だけだ。

まるでペットショップで誰かが自分を買いに来るのを待つ犬のように。

ただ待っていた。

そしてそれはオークションと同じだった。

付き合っていた女は俺を手に入れようとしていた。

しかし、その女が複数だった故に女達からすれば、俺はオークションの「出品」にしか見えなかったのだろう。

それが今わかった。

この状況下で。

周りを完全に女達に囲まれたこの状況で-。

裕二は部屋の真ん中に手をついて座りこんでいた。

周りを完全に囲まれているためどうしようもない。

それに--。