「だって、あのオークションは裕二君が自分自身でオークションに出したんだから、当然マイナスになれば競りに出した本人がお金を払う義務があるんだよ。でも--」

そこで間を置いてから、ゆっくり続けた。

「裕二君払えないでしょ?」

「誰があんな額を--」

「だったらやっぱり体で払ってもらうしかないよ。内蔵全て売っても足りないだろ~な。足も手も必要ないよね? ねぇ?」

裕二はもう限界だった。

気付けば足が勝手に動いていた。

が、窓へ向かって突進した時視界に何かが入ってきた。

一瞬は目を疑った。

窓の外からマー君の姿が見えたからだ。

そいつは壁を攀じ登ってきたようだ。

梨華のように何か人間離れした能力があるのかもしれない。

まだ変異はしてないが、皆白い仮面をつけて、梨華と同じような格好をしている。

「な、なんなんだよ! お前らは!」

裕二はついに腰を抜かし、床に尻餅をついてしまった。

その間に次々とマー君が部屋に入ってくる。

蟻のようにうじゃうじゃと。皆壁を登って入ってくる。

鎌を持って――。

呆気にとられていると、後ろから梨華の不気味な声が聞こえてきた。

「だから、皆で裕二君を『解体』して体を貰うことにしたの。裕二君の彼女みーんなでね」