<17>
裕二はドアの前に立ち塞がる梨華から離れるように後ずさる。
梨華はもはや人間ではない。
長く伸びた両手を広げ、足は床にだらりと垂れている。
体のあちこちから血が吹出し、できものが心臓のようにドクンドクンと波打っている。
梨華はまだ新しい体になれていないようでふらついていたが、ドアからはがんとして離れなかった。
それが「逃がさない」そういう意味だと察するのに時間はいらなかった。
もはや目の前にいるのは化け物なのだから--。
裕二は心臓が破裂するぐらい緊張していたが、なんとか平静を保とうと無理に口を動かした。
頭の中では「逃げろ! 逃げろ!」と危険信号が点滅していたが、人間というものは不思議なものだ。
いざ危険に曝されると脳が正常に働かないようだ。
恐らく大量のアドレナリンがそうさせているのだろう。
頭の中がドクンドクンとする。
裕二はドアの前に立ち塞がる梨華から離れるように後ずさる。
梨華はもはや人間ではない。
長く伸びた両手を広げ、足は床にだらりと垂れている。
体のあちこちから血が吹出し、できものが心臓のようにドクンドクンと波打っている。
梨華はまだ新しい体になれていないようでふらついていたが、ドアからはがんとして離れなかった。
それが「逃がさない」そういう意味だと察するのに時間はいらなかった。
もはや目の前にいるのは化け物なのだから--。
裕二は心臓が破裂するぐらい緊張していたが、なんとか平静を保とうと無理に口を動かした。
頭の中では「逃げろ! 逃げろ!」と危険信号が点滅していたが、人間というものは不思議なものだ。
いざ危険に曝されると脳が正常に働かないようだ。
恐らく大量のアドレナリンがそうさせているのだろう。
頭の中がドクンドクンとする。