そこまで言った時、突然梨華が胸を掴んで崩れ落ちた。

「う、う、ウェェー!」

急に苦しみだし、床に血を吐いた。

それだけでも驚いたのに、更に恐ろしいことが起きた。

「うわあああー!」

大声で苦しそうに叫ぶ梨華は、カーペットを爪で引っ掻いて暴れた。

その光景に、裕二は後ずさった。

梨華は-ー変異していた。

自分で服を破り捨て、その体が明るみにでた。

そこには緑色のできものが覆いつくし、膿をだしている。

「ギャアアア!」

叫び声は止まらない。その間梨華は暴れ回っており、徐々に体の形が変わっていく。

手と足の筋肉がブチブチと切れていく音がする。

それに呼応するかのように、両手、両足が伸びていく。

しばらくすると、両手、両足からは血が吹出し、かなりの長さになっていた。

そこでようやく梨華は立ち上がった。

まだ苦しそうだが、目は裕二を捉えている。

「はぁっ、はぁ、こ、これでまた裕二君に近づけた。この手があればもう裕二君を離さないですむ。裕二君を逃がさないですむ」

そう言いながら長く伸びた腕を顔の前に上げた。

もはやそれは梨華でも人間でもなかった。

裕二はただ見ているしかなかった。