しかし、梨華は逃がしてくれなかった。まるで獲物を捕まえた猛獣のように、しっかり捕まえて放さなかった。

それに思いもよらないことを口走った。

「やっぱりマー君の言う通りだった。あんたが何人も女を作ってんのはばれてんのよ。マー君が全て教えてくれたんだから」

「マー君? なんで今そいつの名前が出て来る?」

そう言いつつ梨華の服装に目が止まる。

そこでようやくその服装に意味があることがわかった。

梨華はデスクから離れ、ベット前にいる裕二から離れた。

「マー君はネット上ならどこにだって行ける。マー君はネットを通じてあんたの浮気メールを見つけ、私に真実を教えてくれた。そして皆にも――。だから私はマー君信者になった」

「マー君信者? いや、今なんて? 皆ってなんだ?」

裕二はドアの前に立ち塞がった梨華に聞いた。

だが、彼女は笑うばかりで答えない。

「ククククク、クッククク」

「ふざけんのはやめろよ! いい加減に――」

そう言いかけた時、ふとパソコン画面が目に入った。

いや見てしまったのだ。何かの力に引き寄せられるように首が動いたのだ。

そしてそこで見た。

自分の値段を――。