「ち、違う! こんなの馬鹿げてる! 第一誰が競り合ってるなんかわかるわけがない。ネットは誰でも閲覧できるんだ。だから――」

裕二は脂汗をかきながら、必死に弁解した。

それでも梨華は折れない。

それどころかどんどん言い迫る。

「でもね、私にわかるの。競り合っている皆――」

急に声を凄める。

「裕二君の彼女だって!」

まるで鬼を見ているようだった。

唯一の救いは仮面で顔が見えないことだった。

おそらく仮面の下には怒り狂った顔があるのだろう。

裕二はもう梨華が梨華ではない気がした。

「と、とにかく落ち着け。冷静になって話し合いを――」

「黙れ! このケダモノ! よくもよくも私を裏切ったな!」

もはや梨華の勢いは止まらなかった。

裕二はそんな梨華から逃げ出したくなった。

もう何がなんだかわからなくなっていた。