梨華が再び黙り込むと、重苦しい空気が部屋を満たした。

天気が荒れてきたのか、外が薄暗くなっていく。

しまいに遠くから雷音まで聞こえてくる。

裕二はすっかり怯えきっていた。

いったい梨華に何があったのか? 

何故こうなってしまったんだ? 

そんなことを考えていると梨華が低い声で話しだした。

「裕二君、私に隠し事してなーい?」

その声に深い憎しみが込められいる気がした。

「な、なんだよ、何疑ってんだよ! いい加減にしろよ! さっきから」

ついかっとなる。

しかし、梨華は構わず話し続ける。

「私は普通だよ。裕二君がおかしいんだよ、ねぇ」

「なんで急に君づけになんだよ! 俺が何したっていうんだ!」

「へぇー」

梨華はいかにもわざとらしく不思議そうな声をだした。

「何も隠し事してないんだ、なら競りにだしても問題ないよね?」

「競り?」

裕二は耳を疑った。

この女は何を言っているんだ? 

この状況下に置いて「競り」だと? 

いったい梨華はどうしてしまったんだ?