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「ウケ狙いじゃあない? だったらなんでそんな格好してんだ?」

裕二はこっちに顔を向けている梨華に尋ねた。

まだ昼過ぎだというのに、やけに部屋が薄暗かった。

空が雲っているのではないかというぐらいに。

が、それは間違いだった。

これは梨華から発せられている負のオーラによるものだった。

空気がピリピリしている。

カーテンがやけに騒がしく揺れている。

冷たい風が部屋を満たしていく。

「梨華?」

裕二は恐る恐る名前を呼んだ。

いつの間にか、梨華から恐ろしい程の殺気が発せられていた。

ただ黙っているだけでも彼女の憎しみが見て取れた。

仮面を被っていても――。

「クククククッ」

梨華は何を思ったか笑いだした。

その笑い声は気味が悪く、耳の奥を刺激した。

「り、梨華?」

しだいに不安になり、裕二は梨華から離れた。

それを合図に、梨華が狂ったように笑いだした。

「ギャッハハハハ、ヒャッハハハ!」

その笑い声はしばらく続いた。

精神崩壊でもしたかと思われたが、急に何の前触れもなく、ぴたりと笑い声が止まった。