---学校---
「え、あと3日で席替えか!」
「ね〜。てか私に言う?」
「あ、ハイ、すみませんでしたぁー」
朝の挨拶なしに、中西尾とごく普通でたわいも無い会話をする。

でもそれは、私にとっては特別で甘い。



「そーいや、糸倉と隣?次の席」
「あ、うん…」
2時間目の理科。急にそう、彼は言った。
「あいつほぼ無言だし、キレたら殴るしなぁ。……俺、変えてもらうように頼むか」
「え」
ペンが止まった。
お弁当の中のトマトを、箸でつまんで落としたみたいだった。
「ま、変えられんならシュウだけど」
そういいながら苦笑いする中西尾は、ちょっぴり可愛かった。

「いや、大丈夫だよ、平田はうるさいし」
そう言うと、そーだなとまた笑って、授業に集中した。