桜吹雪は辺りを薄いピンクに染めて去っていく。



「…お前が睦月を助ける事ができたのは、ずっと睦月の事を見ていたから、なんだよな」

「……ああ」


ソイツは俺に向かって聞いてきた。


「だから、睦月が危険だって事に気づいたんだな」

「まぁ、な」


俺が絶対に勝てないと認めたソイツ。



睦月の手が、俺の手を握り返した。


「せつら、元気だった?」

「元気じゃねーよ。ただいま就活中。不採用の嵐で泣きそうだ」


ぷっと睦月が吹き出した。



「……せつらなら、焦らなくても会社も彼女もいいご縁があるよ!」



俺は驚いて睦月を見た。



睦月の瞳は、かつてないぐらいに澄んで輝いている。