あの事故から1年以上の時間が過ぎている。


俺は徐々にゆっくりと記憶を取り戻していったけど、その横にはいつも睦月がいてくれた。



記憶が甦るとともに、睦月には新しい彼氏がいたことも思い出して。

ソイツとはどうなったのかを睦月に聞いても、睦月は曖昧に笑うだけだった。



「せつらとは、別れたんだ」



儚く笑う睦月を見れば、後は何も聞けなくなっちまう。


多分、俺のせいで二人は別れたんじゃねーのか?

引き裂くような真似したんだろうか?



睦月の瞳がたまに曇ることがある。




そんな時は、時間をかけてゆっくり睦月のことを愛してやる。

意識をとばすぐらい、強く、執拗に。



睦月の中に残る、アイツの名残を上書きしてやりたかった。