「あたしはね、陸斗が睦月ちゃんを助ける選択をしたのが、嬉しくもあるの。この子は父親とは違う生き方をみつけたんだって。好きな子のために、自分を犠牲にできる強さを持ってくれたんだね……」



なんでもっと早く、そうしてくれなかったのよ。



そしたら、あたしは、せつらと……。



「ごめんね、睦月ちゃん。あたしもう仕事に行かなきゃ。馬鹿息子の入院費、稼がなきゃいけないから……」


「何かあったら、すぐに連絡します」



弱々しく笑って、陸斗のお母さんは病院のロビーに消えていった。



夜のお仕事をしている陸斗のお母さん。



初めて会った時は見た目ギャル系なお母さんにびっくりしたけど、陸斗の事をとても愛していていつも心配しているのを知ると、お母さんの事は怖くなくなった。


今だって、本当はここに居たくて辛い思いをしている様子はあたしにも伝わってくる。