集中治療室からお医者さんが3人並んで出てくると、陸斗のお母さんの前に立って口を開いた。



「出来る限りの処置は致しましたが、意識不明の……」

「……骨折が5箇所、脳に……」



「どなたか会わせたいご家族やご親戚がいらっしゃるなら、今のうちにこちらへ呼んで下さい」



さあっと血の気が引くのが分かる。




ねぇ、お医者さんが言ったのはどういう意味……?



「……会わせたくても、会わせてやれないのにね、睦月ちゃんっ!」



陸斗のお母さんはあたしにすがりついたまま、とうとうしゃがみこんだ。




「誰を…連れてくればいいの?その人を連れてくれば、陸斗は助かるの……?」

「睦月、しっかりしなさい!」


お母さんがあたしの肩に手を置いて揺さぶっている。



「お母さん、あたしずっとここにいる。陸斗の側から離れない!」





だってほら、目を離したら陸斗はすぐ他の女の子のところに行っちゃうから。





だから、いい加減目を覚ましてよ。


……………陸斗―――!