………何が起きたのか、最初は分からなくて。
ただ呆然として、突き飛ばされた格好のままあたしはその場にへたりこんでいた。
「足場が落ちたぞ !!」
「高校生が下敷きになった !!」
「救急車を早く……」
「鉄材を…せ…」
ノイズのようにがさついた言葉が耳に入ってきて、ようやく情況が理解できた。
陸斗は、体を突き飛ばすことで、あたしを助けた。
そのせいで、陸斗は………あたしの身代わりになって、鉄板の下敷きになったんだ。
目の前に停まる救急車。
ひそひそと囁きあうクラスメイトの声。
怒鳴る先生達。
―――担架に乗せられた陸斗。
ガタガタ震えるあたしを、誰かが車に乗せた。
助けて、誰か、陸斗を。