それからみんなでギャーギャー騒ぎながらチェックインして、部屋に案内してもらってその部屋へと移動する。



あたし達の部屋と芽依達の部屋は、なぜか向い合わせになっていた。




「なーんだ。隣同士かと思ってたのに」

少し残念そうにあたしが言うと、せつらが意味深な視線をあたしに向けた。



「だって、どうせここ壁薄いんだろ?隣で何ヤってるかなんて筒抜けに聞こえちまうってば」


最後は苦笑混じりでそう言うせつらを不思議に思って眺める。


益々意味が分からなくてきょとん、としているあたしの耳元に口を寄せてせつらは囁いた。





「エッチな声、聞こえてくるかも知んないでしょ?」


ハッと顔を上げたらすぐ前にせつらの整った顔があって。


あたしは簡単に唇を奪われてしまった。



不意打ちとか卑怯だよ、せつら!







「うーわ。肩が痛い……。筋肉痛?」

「もうかよ。早すぎ」


夫婦漫才のような芽依と阿木さんの会話もろくに耳に入らない。



えーと、今更ながら思うんだけど、あたしとせつらは相部屋なわけで。


芽依達と向い合わせの部屋なのは『エッチな声』が聞こえないようにするためのもので。




………それって、あたし達ももしかしたら『そういう声』を出しちゃうかも……知れないってこと?


そんなことを考えてたら急に恥ずかしくなって、夕食のバイキングが喉を通らなくなった。



あたし、『子供っぽい』ってせつらに幻滅されたらどうしよう………?