初心者のあたし達が遭難したら大変だと、やむなくスキー場を切り上げることになった。


今日はせつらも阿木さんもそれぞれで車を出してきたから、スキー場の駐車場で一旦芽依達とは別れて、泊まるホテルで再び落ち合おうって話に。



気がつけばもう4時。



「もうこんな時間 !?」

「時間に気づかないぐらいハマってたんだ?」



せつらがまたニヤっと笑う。


何だよー!最後の一回、わざとあたしを転ばせたくせに!



腹いせに、せつらの腕を軽くつねってやったら逆にあたしの脇腹をくすぐられた。


「やだ降参!」




ふざけあってるうちに、車はホテルに着いていて。


駐車場では芽依達が待っていた。



「遅いよー?どうしたの?」



不審そうにあたし達を見る芽依に、阿木さんが「バカップルはほっとけよ」なんて酷いことを言った。



「バカップルって、そっちもじゃん!」

「は?なんでうちらがバカップル?」

「だって意地でも二人で露天風呂に入る気満々なんだろ?ほら、やっぱバカップルはそっち」

後ろから来たせつらがあっけらかんと言い放った。