は?こんなんで何万もすんの?買えるわけねーじゃん。


「……このストラップに付いてるやつも、燃やしたら強い匂いがするんですか?」


その沈香からは、今はほのかに甘い花のような香りがするだけだ。


だけど俺はそんな香りに強く惹かれていて。


「そうですね、燃やしたらその沈香も強く香りはしますが、それはそのままでお楽しみ頂きたいですね」


一瞬で燃やし尽くすより、長く愛してやって欲しい。


暗にそう言われた気がして、俺はもう迷わずにガーネットのストラップとアメジストのストラップ、二つを店員に手渡した。

アメジストは俺の誕生石。



遊びで一瞬を燃やし尽くすより、長く愛せる想いを睦月と分かち合いたくて、俺はペアのストラップを選んだ。