完膚なきまでに打ちのめされた俺は、その店の隅の二人掛け席に座って隆一にメールを送った。
随分病んでる内容のメールだったけど、誰かにこのやりきれない心情を吐露したかったんだ。
隆一からはメールじゃなくて直接電話がかかってきた。
『何ヘコんでんの?つか、何?[俺はアイツに勝てねぇよ。もうダメかも]って。どういう意味?』
自分が送ったメールの内容を読み上げられたら、こっ恥ずかしくなった。
「今、睦月の彼氏が働いてる店にいんだけど」
『あ…。ああ、それで?』
俺がアイツに感じた劣等感みたいなもんを、隆一に感情のままぶちまけた。
『んー、なんつーかさ。相手に勝てるとか負けるとか考えてねーで、お前にしか香川にしてやれないこと考えたら?』
「……あんのかな、そんなの」
『みっけろよ自分で。勝負すんのはそれからだろ。なんもしないうちから逃げ出してんじゃねぇよ』
じゃーな、と言って通話は一方的に切られた。
……俺が睦月にしてやれる事?
ただ歩いていれば何か閃くかと考えて、俺は店を出た。
クリスマスは多分アイツと一緒にいるだろうし、プレゼントだってそれなりの物を送るだろうな。
……やっぱ、こんなんじゃダメじゃね?