テストが終わってからは学校中がもう冬休みムード一色で賑わっている。


クリスマスにデートはできないけど、せつらにはバイトが遅番じゃない日は放課後に必ず迎えに来てもらってるし、あたしも人並み以上に12月の慌ただしさを楽しんでたりもして。



帰り道はたまに寄り道して帰る。

ファミレスに行ったりプリ撮ったり。



充実してるって、こういうことを言うんだろう。


あたしがせつらの事を想って、せつらがあたしの事を想ってくれる。


お互いに思いやれる、そんなほんわかした温かさ。


これもあたしが今までに経験したことがない感情なんだ。


「クリスマスに逢えないのは、やっぱ辛ぇなー」


せつらがあたしの髪を撫でながらそう言った。

あたしの髪を触るのが何気に好きだよね。



「……バイト先に行っても、ダメ?」


下から見上げるように、せつらを見た。


「来てくれるとすっげー嬉しい。やる気出る」


その言葉に気を良くしたあたしは、停車中だったせつらの隙をついて背中に抱きついた。



「ばっ…!おま、危ない!」


慌てて引き剥がされると、せつらがぜぇぜぇと肩で息をしている。


「さっきの上目遣いといい、お前危機感なさすぎ。今度やったら……」

「?やったら?」


「食っちまうぞ」



耳を舐めてそう言われた。


途端に力が入らなくなる、あたしの体。


「そうそう。必死で理性保ってんだから、今は大人しく言うこと聞けよ?」


またニヤリと笑ってあたしの顎を撫でた。


またくらくらする。


どこまでせつらはあたしを乱せばいいの?