「来てくれたんだ?何にしますか、お客様方?」

「……睦月がこないだ飲んでたやつ」


芽依の機嫌は治らないままだったから、理由が分からない阿木さんは苦笑していた。


「睦月は、また俺にお任せでいい?こないだとは違うやつ」


阿木さんの横からせつらが顔を出して、あたしにそう言った。



せつらがあたしだけに作ってくれるフレーバー。


嬉しくない訳がない。



むくれたままの芽依とは違い、あたしは上機嫌で引き渡し口でドリンクを待った。


ドリンクとせつらを、だけどね。



「はい、チャイティー」


耐熱性のグラスに淹れられた『それ』は、ふわふわの白い泡が上に乗っかった温かいティーだった。


ほのかにジンジャーのいい匂いがする。


「外を歩いてくんの寒かっただろ?だからジンジャーで暖まれよ」


ふふふ。


せつらのこういうさりげなく優しいとこが大好き。



出会って間もないのにどんどんせつらに惹かれていく。


「……むう。また睦月の方が美味しそう……。もーぉ尚くーん!」




芽依が睨んでも気にならないぐらい、せつらに夢中です。