「ボックス席に席取ってて。オーダーしてくる。みんな、何飲む?」


せつらにそう聞かれて、あたしは飲むものに困った。


「俺はいつもの。カプチーノ、砂糖少なめ」

これは阿木さん。



「じゃあ…あたしは、カフェモカで」

と、芽依。



「睦月は俺のおすすめでいい?」

せつらが楽しそうに笑うから、あたしはこくりと頷いた。


しばらくしてせつらがみんなの分のドリンクを抱えて持ってきた。



……駄目じゃん、あたし。

気が利かない。好きな人に運ばせるなんて全く気が利いてない。



今度からはちゃんとこういう時にはフォローしないと。




「睦月のそれ、何?」


芽依が興味津々の猫みたいに、あたしのドリンクをじいっとみつめている。


「うーん…。ココア?」


ココアにしては味が濃いような……。


「チョコレート・モカだよ。コーヒー薄めでチョコを多目にしてもらった」


せつらがくすくす笑ってあたしを見た。


せつらが特別に作らせたチョコレート・モカはとびきり甘くて優しい味。



そんなあたし達を見ていた芽依が「えー!あたしもあれが良かったぁ!」なんて駄々をこねだしたから、阿木さんが慌てて芽依にだけシナモンロールを買ってきていた。




おーい。いつになったら勉強できるんだい?