睦月に告ったのは、一年の時、体育祭が終わったばかりの校舎の裏庭で。
ぱっちりした大きな瞳、整った小さな顔。ストレートに伸ばした髪をいつもサラサラと風になびかせて笑っている。
そんな睦月の笑顔をこっそり見るのが日課になっていた、あの頃。
睦月のことは入学した頃から気になる存在で、ずっと話しかけようとチャンスを狙っていたのに、ヘタレな俺はなかなかそのきっかけを掴めずにいた。
だけどチャンスは巡ってくるもんで。
同じ体育委員だった俺と睦月は、9月の体育祭のために二人して毎日遅くまで学校に残って準備に追われ、それから段々話す機会が増えていった。
気がつけば自然に名前で呼び合うような仲になっていたし、睦月からは付き合ってる奴はいないと聞かされていたから言うなら今しかないと思った。
そして体育祭が終わったその日、夕方睦月を呼び出して告白。
俯いて少し考えた睦月は、ようやく顔をあげて、「はい。………お願い、します…」と聞こえないぐらいの小さな声で返事をしてくれた。
正直、それまでちゃんと女と付き合った事がなかった俺は、睦月にどう接していいのかが分からなくて。
手を繋ぐのは一週間経ってからだし、キスは10日ぐらい後だったと思う。
ようやく体を重ねたのは、一ヶ月ぐらい経ってからのように覚えている。