すっかり外も暗くなった頃、あたしと氷室さんはファミレスに場所を移してテスト勉強の追い込みに入っている。



氷室さんの教え方はとても分かり易くて、苦手だった公式の暗記や聞き取り方のコツを丁寧に教えてくれた。



だから「明日も違う科目をここでやろうか?」のお誘いには一も二もなく「うん」と答えてしまう。


それからそのままファミレスで、また夕ごはんをご馳走になってしまっていたり。


「睦月、甘いものは食わねーの?」


だってそこまでがっついたら食べ物に賤しいとか思われそうで。


「あたしはいいやー」と無難に返事を返した。



けど、食後に出されたクリームあんみつ。


アイスとぜんざいとあんこがぴかぴかに光ってて、美味しそう……!



「半分こしよ?」

「え、でも……」

「俺が食いたかったの。でも一人じゃ食いきれないから、睦月先に食べて」


うー。あんみつの誘惑には勝てない……っ!


木製のスプーンで桃をぱくりと一口かじると、じゅわっと口の中に広がる甘味。