でも授業開始のチャイムと共に、芽依は渋々自分の席に着いたけど。



昨日のうちに芽依には話しておけば良かったかな?



「……睦月ちゃん、イメージ変わったね」


授業中、後ろの席の夕美ちゃんがそう言ってスマイルをくれたから、あたしも0円の価値しかないスマイルを返した。


「なんだかすごく綺麗になったよ」



その言葉に気をよくしたあたしは、レアなキノコ味の飴ちゃんを一つ、後ろ手で夕美ちゃんにあげた。


夕美ちゃんは微妙な顔をした。





うん、確かに芽依や氷室さんの言う通り、あたしは今まで勿体ない青春期を過ごしていたのかも知れない。







「……で?」



昼休み、中庭にて。


仁王立ちする芽依に、昨日氷室さんとの間に起きた全ての事を白状させられた。




「……ふーん。いきなりイメージ変えてきたのは、そういう理由かぁ。でもこれで分かったでしょ?睦月に足りないもの」


「うん。実は今日、放課後氷室さんが迎えに来てくれるんだ」


「良かったじゃん。尚くんも『雪羅は惚れたら一直線な奴なんだよな』って苦笑してたよ」


「マジで?」


「うん」



それなら。


あたしも氷室さんに対しての警戒を少し解いても、いいかも知れない。