氷室さんは元カノさんの事をとても大事にしていたんだそう。


でも、元カノさんは氷室さんに隠れて浮気をしていた。



それでも、氷室さんは元カノさんの事も浮気相手の事も恨んだりはしていないと言い切った。


「……俺が身を引く事で彼女が幸せになれるのなら、俺がそうするべきだと思った。修羅場なんて皆が苦しむだけだ」




今のあたしにはそれが正しい事なのかは分からない。



……あたしはいつまで陸斗にとっての『都合がいい女』でいればいいんだろう?



芽依や氷室さんに言われて気が付いた。



あたしはただ、『彼氏がいる』って肩書きが欲しかっただけなんだ。


だから陸斗に浮気されても何とも思わない。




そんな打算、氷室さんのおっきな気持ちに比べたら、きっとノミみたいなちっぽけなものでしか、ない。









「ちょっとぉぉ !? 昨日の事、説明してよ?つーかなんで髪型とかメイクとか今までと違うの !? マジあんた何なのもう!おかげで昨日尚くんとあんたの話題で盛り上がっちゃったじゃん!」


「ネタかよ。盛り上がったなら本望だよ」



芽依が登校して早々にあたしの席に来てマシンガンのように捲し立てた。