これが芽依が言ったドキドキってやつ !?


「睦月、まだ顔赤い」


ファミレスで向かいの席に座った氷室さんが、長い足を組んで相変わらず余裕の笑みを浮かべている。


「だって氷室さんが恥ずかしい事言うから……」

「そぉ?男だったら、好きな女の子の事を束縛…っつーか、俺好みに育てたい願望ってあるんじゃね?」

「そう……なの…?」


だとしたら。


付き合って一ヶ月で他の女の子に浮気した陸斗は、あたしにはそんな願望すらなかった?


あたしには恋愛感情を持っていなかった?



「睦月はさ、もっと可愛くなるよ。俺がそうする」


「……今日初めて会ったばかりなのに、そんなの分かんない」


どんな人かも分かんないのに。



「だから、今からお互いを知ろうよって言ってる」



氷室さんがくすくす笑うその笑顔が、まるで少年みたいだと思った。


そして、ときどきいたずらっ子みたいにニヤリと笑うこと。


そういう時は、すごく色気があってドキリとする。



そして、以外に一途なところもあって。