「・・・もしかしてなんですけど、流山先生ですか??」

 タケくんがグラスに水を注ぎながら流山先生の顔を覗いた。

 「・・・よく分かったね。 僕は数える位しかメディアに顔出した事がないので、僕の顔を知ってる人なんかいないと思ってたよ」

 流山先生は笑顔を作ってくれてはいるが、眉間に微かに皺が寄っていた。

 きっと、バレたくなかったのだろう。

 ・・・なのに、

 「やっぱりですか!! 昨日千秋ちゃんが『流山先生のアトリエに見学に行く』って行っていたので、もしかしてと思って・・・。 オレ、大ファンなんです!! 物心ついた時から、今も変わらず大好きっス!!」

 大興奮したタケくんは、勝手に流山先生の手を取ると、強引に握手しやがった。

 やめろや!! タケ!! ワタシが悪者になっとるやんけ!! しばくぞ、バカ!!

  オマエのせいで流山先生に嫌われて、アトリエ出禁になったらどうしてくれんだ、このやろう!!