そんな二台の会話を聞いていた誰かが、突然苦言を呈しました。




「お前たちは、考えが甘すぎる!」




それは、売り場の隅っこに追いやられ、破格の値札をつけられた中古の扇風機でした。


ボディは綺麗に磨かれていますが、あちこちに傷があり、これまでの壮絶な経験がうかがえます。


「仕方のないことだが、お前たちは世間知らずだ」


「先輩、ごめんなさい……」


「いいか、お前らは人間が扇風機を大事に扱ってくれるものと決めつけている。

しかし、現実はそうはいかないのだ。

少し、私の話を聞かせてやろう」