イオなりの励まし方。
ウルドは有り難く受け取ることにする。
「―――よし、その勝負乗った」
柄にもなくやる気なウルドにイオは満足そうだ。
「よーし。
珍しく乗り気なウルドに感動したのでここで追加ルール。
負けた方は買った方にアイスクリームを奢ることっ」
人差し指を立て、得意気なイオ。
“何でも有りなんだ…”
ウルドの呟きはイオに届かない。
成り行き。
行き当たりばったり。
だからこそ、面白い。
何が起こるかわからない、それが旅。
「―じゃあ始めます。
いちについて……用意…どん」
二人同時に大地を蹴り、駆け出した。
夕焼けを背景に森を駆け抜ける。
「ウルド……中々やるね」
「イオだって…」
止まらない。
止まりたくない。
二人の旅はまだまだ始まったばかり。
何が起こるかわからない。
心配したって仕方ない。
だから有りのままのに生きよう。
今というこの時間を大切にして。
命の翠
遥か遠き唄
大地は潤い、太陽は舞う
やがて草木は茂り、森となる
閉ざされた世界
終わらない命の輪廻
二人に神獣のご加護がありますように。