「はあっ?
あんた迷子だったの?」
イオの話を聞いた少女は、青の瞳を丸くして笑った。明るく豪快に笑う少女に、イオは親近感を覚える。
「私、旅人なのに地図読むの苦手なんだよー。
この辺りにある村に行こうとしてたんだけど…迷子になっちゃった」
手に持ったしわしわの地図を一瞥し、イオは困ったように笑ってみせる。
「へぇ…あんた旅人なんだ。
この辺りの村って…ナギア村のこと?」
少女の問いに、はっとしたイオは地図を広げて見てみる…。
慣れない手付きで地図を追えば、ナギアの文字が目についた。
イオの表情がぱっと明るくなる。
「そうそうっ、ナギア村。
私、そこに行きたいんだ」
イオは地図を少女に見せ、ナギアを指差した。
「そっか。なら丁度よかった。
あたしもナギアに行きたかったんだ。よかったら一緒に行く?」
「行きますっ」
イオはもちろん即答だった。
まさかこんなに都合のいいことがあるなんて…。
そのときふとイオの頭に浮かんだのはあの青いネックレス。
“私のこと助けてくれたの…?”
青い小さな宝石は、光を集めて遠慮がちに煌めく。
「あ、そういやまだ自己紹介してなかったね。
あたしはレオナ。旅人だよ」
派手な金髪の少女、レオナ。
黒いレザージャケットを羽織り、ショートパンツに黒いブーツを合わせたレオナは、イオの目に格好よく映る。
「レオナ、ボーイッシュで格好いいねー。
私はイオ。よろしくね」
「ああイオ、よろしく」
レオナは、屈託のない笑顔を見せるイオに海の青をした瞳を細め笑った。