深々と頭を下げるイオに、四人は皆して首を横に振る。



「イオちゃん、そんな頭下げないでいいからっ。


イオちゃんがそんなに泣くなんて…。
一体何がどうしちゃったわけ?」


ロキが心配そうな表情で、イオを覗き込む。


四人の温かさに、イオは救われるような気がした。







「何だってっ?
ウルドがイオちゃんを置いていなくなった?」


イオの話を聞いたハノイは思わず声を上げずにはいられなかった。


「ウルドの奴一体どうしたってんだよ…」

アルはイオの小さな背中を優しく擦りながら呟く。


ウルドはイオを過保護なくらい大切に守っていた。

そんなウルドが、自らイオのもとを去るなんてあり得るのだろうか。



「ウルドの兄貴がイオちゃんの前から消えるなんて…何らかの理由があったんじゃないですかね…?」


ぽつりと溢したエデンの頭に、寂しげなウルドの顔が浮かぶ。



「理由……。
――きっと私が言っちゃった言葉に傷付いたからだ…」


イオは俯き、拳を握った。
湧き上がる後悔の念に、もう戻れない日々を思い返しては自らを責める。


「言ったって、何を…?」
恐る恐る尋ねるアルの表情は、心なしか緊張しているように見える。

広場のベンチから見える商店街の賑やかさが遠く聞こえる。



再び口にすることを恐れ、震えるイオの唇。


「わ、わ、私…ウルドのことが恐いだなんて言っちゃったんだ…。

そのときのウルド、とっても悲しそうで、辛そうで…」


思い出すあの時のウルドの表情…。
居たたまれない気持ちは、イオから笑顔を奪う。



「ああ、イオちゃん…それはまずかったな…。あいつは繊細だから。


でも俺、原因はそれだけじゃないと思うぜ?

ウルドはイオちゃんのことが好きだ、大好きだ。
イオちゃんのその言葉は確かにショックだったとは思うけど、それだけであいつがイオちゃんから身を退くとは思えないな」


ウルドと心の内を語り合ったハノイだから言えることだった。