その時だった。

「ランスロット様!」

一人の信徒が駆け込んできた。

「ヴァチカンの手の者と思われる祓魔師がこの聖ジョージ大聖堂に!既に死傷者多数!」

そう告げる信徒もまた、喀血したのか血の筋が口元から流れていた。

「数は?」

「一人…たった一人で…ぐふっ!」

口から血を溢れさせ、その場に蹲る信徒。

「ランスロット様…」

「君は彼の手当てを頼む、くれぐれも大聖堂から出ないように…ここなら内部は運の確率と指向性が歪められ、それ以外にも様々な術式が絡み合った多重結界が構築されている」

シスターの肩に手を置き、少しでも安心させた後。

「いってくる」

ランスロットは大聖堂の外へと駆け出していった。