「痛っ…痛い…肩が…肩が痛いっ…」

傷口を押さえて必死に訴えるファティマ。

過去にここまでの傷を与えたのは、ランスロットくらいのものだろう。

それ程に、ファティマは圧倒的な強さを誇っていた。

まともに傷さえつけられた事がない。

それだけに思い上がり、祓魔師としては偏った成長を遂げ、それ故に一度傷つけられると思いのほかに脆かった。

「痛いよ…血が…血がいっぱい出てるのっ…もう戦えないよっ…病院…誰か病院に連れてってよっ…」

これまで散々多くの同胞を傷つけ、時には殺害までしておきながら、命に別状のない小さな傷でそんな自分勝手な事を言うファティマ。