さて、合流した三人。

ヘヴンの手には聖釘、カタリナの首には聖十字架がある。

どちらも聖遺物、目下の所の強敵であるファティマに対抗する為の手段だ。

聖十字架ならば地獄の幻視に、聖釘ならば宗教防壁に抵抗(レジスト)する事ができるであろう唯一の手段。

信徒であり祓魔師でありながら、限りなく天使や聖母に近い能力を持つファティマと戦う為に必要だったものだ。

それらを無事入手する事が出来たにもかかわらず、どうして彼らはこんな宿に身を潜めているのか。

「…どうだ?カタリナ」

ヘヴンが問いかける。

「…いますね」

窓際に立ち、カタリナは様子を窺う。

「修道服こそ纏っていませんが、あの身のこなし、視線の配り方…あれは私達を警戒して防衛線を敷いているヴァチカンの祓魔師達です」