「用事はないです…」
『そっか、夜道でストーカーにあってるかと思った』
「ありえないですよ」
『ならよかった。安心する』
もう会うこともないかもしれないから、今日で最後の電話になると思った。
「今日、裏通りの雑貨屋さんいませんでしたか?」
『雑貨屋さん?あー通ったかも』
「見たんです、洸人さん」
『あ…そっか…俺も水希みたいな女見たよ?』
「やっぱり…」
胸が痛くなる。
女の人と一緒にいたあの人はやっぱり洸人さんだったんだ。
「こんなこと聞くの変かもしれないけど…彼女さんですか…?」
『あー…』
少し洸人さんが黙る。