「部活やめていいよ。」
先輩の声があたしの胸に冷たく響いた。

空はオレンジ色に染まり始めていた。夕暮れ。
あたしは小さく息を吐き、空を見た。今日の天気は曇り。まるであたしの渦巻く心を表しているかのよう。
何で「部活やめろ」って言われたかって?…そんなの知るか。だって気が付いたら言われてたんだもん。
意味わかんないよね(笑)
まぁでもあたしはそんくらいで折れる女じゃないし。あたしは腹が立ったせいもあり、しばらく部活を無断欠席することにした。


あたし、豹塚 晴奈(ひょうづか はるな)。一言で言えば、あたしは平凡女子。顔並、スタイル並、成績並、運動神経並(笑)髪も適当に頭の上でクロワッサンみたいに束ねて終わり。化粧もしないよ。さっきまで吹奏楽部大好きかだった中学2年生♪(笑)もう今は吹奏楽大嫌いだから!!
ホント女子って意味不明だよね。先輩、何故怒ってるのかあたし、まだわかんないもん(笑)明日から部活行ーかなーいもん。
部活なんかくそ食らえだし!!


…って言うのはいいけど。明日から何しようか。だって部活行かないってことはあたし、暇人になるんだよ!?今更 違う部活入るわけにもいかないし…。
何かいい暇潰しないかな?


悶々と考えてると大きな声があたしを呼んだ。
「はーちゃーん!!」
「あ、葵じゃん♪」


バレー部室から出てきたのは、あたしの親友、橘 葵依(たちばな あおい)。茶色の綺麗な髪を肩まで伸ばし、ゆるいウェーブがかかってる。睫毛はスッゴク長くて、女子のあたしでもヤキモチ焼いちゃうくらい可愛い顔してる。さらに女子バレー部キャプテンなんだ。頭もよくて、運動神経抜群。羨ましい。
「ねぇねぇ、考えてくれた?」
近寄るやいなやいきなりあの話を振る葵依。
「…いや。」
「えー、入ろうよぉ。楽しいよ?」
葵依の声が大きい。周りのひとはびっくりしたような表情であたしたちの隣を通りすぎていく。
ちょ、葵依、声デカイよ…!!(笑)
…慌てるあたしをよそに、葵依はさらに話始める。
「汐龍はね、マラソン大会の運営の手伝いとか、交通安全運動とかボランティアするところだよ♪もうね、久我先輩と小山先輩頼りになるんだよね!!これが。
高校生と何かすることってあまりないからさ、歳の違う人と一緒にいると楽しいんだ〜。この前なんかさぁ…」
「あたし…部活辞めたんだ。」

このまま黙って聞いてたら日がくれてしまいそうだ。あたしは葵依の話を遮って話始めた。