藤川はやっと上目遣いを止めると、観念したかのようにケータイを取りだし、俺に分かるように画面を見せながらさっきの写真を消した。
「龍くん。怖い!もう少し優しくしてくれてもいいじゃん!」
そう言う藤川の横をさっさとすり抜け、俺は下駄箱に向かった。
周りの視線があからさまに俺にまとわりつく。
「こえー。」
「でもやっぱカッコいいよ!」
「超俺様!」
…喋るんなら本人に聞こえないように喋ろよ。
靴を履き替えた俺はイライラが止まらず、廊下の壁を思いっきり叩いた。
ダン!と思いの他響いたその音に少しの間、気持ち悪いくらいの周りの沈黙が続いていた。