瞬さんは赤信号で車を停車させたときに、チラリとこっちを見ながら言った。
「龍は、意地っ張りだからな。でも大事な女の子に、意地張ったりしたら駄目だぞ。大事な女の子には優しくすんのが男ってもんだ。」
その言葉に俺は壮太の言葉も思い出していた。
「何か、正直よくわかんないんすよ。仲良かったとはいえ、それはもう10年前の話だし。小雪がどんな風になってるかとかも全く分からないし。…壮太は会うのが楽しみって言ってたけど、俺は不安だらけっす。ましてや、壮太なしの1対1で
会うなんて…」
そうこう言ってる内に、気付けば車は駅に着いた。
いつもはテンション高い姉貴がゆっくりと話した。
「大丈夫だよ、龍。本当はあんたが優しい子だってのは私も瞬も知ってるよ。ありのままでいけばいいのよ。
…って、あの女の子、小雪ちゃんじゃない!?」
駅の入口にケータイをいじってる女の子がいた。
俯いてる為、よく顔は分からないが茶色のロングの髪が風になびいている。
その瞬間、俺のケータイがなった。