姉貴も瞬さんも、同じ駅ビルの違う店舗のスタッフだ。
今日は二人とも遅番で、これから出勤らしい。



「おー!龍!イケてんじゃん!写メ撮らせて!」

服装が無事決まった俺にケータイを向けながら姉貴がそう言った。



「バカ!撮るなよ!」


俺は慌てて姉貴のケータイを取り上げようとする。


「いやー。龍、お前本当男前だわ。その服一式うちの新作なんだよ!
元々服のセンス悪い訳じゃないんだからさ、今度からうちの店の服買いに来いよ!俺がもっとお前のセンスを伸ばしてやる!





…その服、やるから写メ撮らせろ!店のその服のコーナーに貼れば売れるぞ!」




と、瞬さんも気付けばケータイをこっちに向けていた。



「ちょ!そんな!嫌っすよ!店に貼られるなんて…しかも、金も払ってないのに受け取れないっすよ!」



俺の抵抗も虚しく、そしてやはり瞬さんには逆らえず、見事にそれぞれに写メを撮られた。


気付けば何だかポーズまでとらされた。

…あぁ、悪魔に魂を売ることにした覚悟はあったが、まさかこんなことにまでなるとは…