朦朧とする意識の中、目を覚ましたのは翌日。無機質な白一面の部屋。
なにやら入院してしまったらしい。
ふと腕を見ると、
点滴の痛々しい傷跡。
小さい頃から積み重ねた傷は、
消えない傷となった。

ふと、倒れた時の状況を
思い出して見る。

親友の離那は、
体育の時間、熱中症で倒れて意識が戻らなかったって。

-みんな大げさだ。
わたしは工藤優愛。
小さい頃から体が弱く、
小学校はほとんど通えなかった。

だからか、
中学に進学して先生や生徒は
ものすごく気遣ってくれる。

嬉しくない、とは思わないけど、
わたしだって普通に友達とバカやったり恋バナしたりしたいんだ。


そして
唯一の親友、離那と出会った。
ただのクラスメイトだったけど
話が弾み、いまでは何でも相談できる
かけがえのない親友だ。
離那とはたくさんのことができた。

そんな中、わたしは健康であり
当たり前に恋をした。
クラスメイトの真田遥斗。

勉強もスポーツもでき、そんな彼を
羨ましく見つめていた。
それに続き、彼の優しい表情や
逞しい腕、すらりとした長身。
彼のすべてに恋をした。
わたしの初恋。