「か…片桐先輩は、さっき急いでたんじゃないですか…? 時間とか…」



「ん?あぁ。大丈夫だよ。特に用事はないから」



そういいながら、あたしの手からノートをひょいととる。



「い…いいですよ!重いですから…」



「重いからこそ持つんじゃん。こーゆーのは男の仕事なのー」


そう言って、たいして重くないよという顔で廊下を歩いていく。



横を歩きながら片桐先輩を改めて見てみる。


綺麗な黒髪に、整った顔立ち。
まつ毛、あたしより長いんじゃないかなぁ…。