「えっ…先輩?」


「…悪い。なんでもないから」


「………?」



ぷいっと向こうを向いてしまう先輩。
耳が真っ赤………



電車に乗るまでいくら呼びかけてもこっちを見てくれなかった。

……なんだかよくわからないけど、照れてる?





電車に乗って、先輩と並んで座る。


だめだよ、ドキドキしちゃう……



あたしも先輩も普段通学に電車を使わないから、豹先輩と乗るのはこれがはじめて。

肩が触れていて、その部分からぶわわって全身に熱が広がる。



ガタンガタン……ガタンガタン………





いつもはうるさいなと思ってしまう電車特有のこの音も、今はあたしの心臓の音を掻き消してくれる。