「ダメ...?」

私がわたわたしていると

彼は少ししょんぼりしながら

聞いてきた。

「い、いえ!

 ダメなんかじゃないです!」

私は咄嗟に答えた。

「それじゃあ呼んで...?」

「え、えっと...ひ...ひな...」

臆病な私は彼の名前も

呼べなかった。

彼はずっと待っていてくれたのに。


-この時間をどれだけ後悔するのかなんて

 知るよしも無かった。