ジェニファーの言葉に対し、鼻息を荒くしながら興奮するようにパク会長が言い放つと、そこでドレスの契約は簡単に済んでしまった

それに伴い、ミランダが本社から戻って来ると音楽祭に向けてGorgeousの中からドレスに合ったヒールやバックを選んでくれ、一先ず音楽祭用の衣装はGorgeousの提供と言う話で纏まったのだった

そして本来の目的であるCM撮影が始まり、なんとか撮影が終わったのは午後の5時‥‥

直ぐにリハに向かわなければならなくて、ミヨンさんからシフォンとどうなったか聞きたかったけど、そんな余裕すらないままコンサート会場へと移動し、3時間に渡るリハを休憩すらないまま行ったのだった

ホテルへの移動中、すっかり疲れ果ていた私は車で爆睡

リハが終わって、スタッフと食事なんてする気力もない私を見たジェニファーは、丁寧にスタッフにお断りを入れてくれ、車に乗り込むや私は睡魔に襲われてしまった

そしてホテルが見えて来た頃に、ジェニファーから起こされたんだけど、頭の機能が働かない

大きな欠伸をして、漸く目を覚ました私の目の前には口角を上げて笑みを浮かべる桜井蒼紫の顔が目に飛び込んで来た


【よく寝てたな?
 寝顔も可愛かったぜ!!】


チラチラとカメラを私に見せつける仕草をした桜井

まさか‥‥!!


【寝顔なんて撮ってないよね?
 ってか、顔が近い!!】


無防備な寝顔

そんな写真が撮られたって思うと、怒りが込み上げて来る

しかし私が反論の声を上げようとすると、何故だか知らないけど桜井の顔が近寄って来て、私は思わず桜井の顔を両手で力強く押し戻すのに必死だった


【乱暴だなぁ~
 良いじゃねぇ~か、こう言った写真はファンが喜ぶぞ!!
 それに俺は素のお前を撮りたいと言っただろ?
 良いショットだったから、早速今回の雑誌に掲載してやるよ
 喜べ!!】

【冗談じゃない!!
 そんな写真なんか却下
 だからって、何で顔を近付けるのよ~!!】

【あ″?
 そりゃ~、お前の涎を拭いてやろう‥【なっ!!
 涎って‥‥】


私は思わず自分の口元に手をやり、涎が付いてないか確認した

手には涎らしきものは付着してない

でも、もしかしたら渇いてるとか?

涎なんて言われて慌てない女の子はいないと思う

私も、そんな女の一人だ

だから鞄の中からコンパクトミラーを取り出し、自分の顔を鏡に映してみる

疲れ切った顔

でも、口元を見ても涎なんて付いてない

私は安堵からホッとするように溜め息を吐き出すや、そんな私を見ていた桜井はゲラゲラと声を上げて笑い出したのだった

完全に遊ばれてる