ジェニファーの方から控室のドアを開け中に入る様に促すと、80歳は超えていると見られる男性と、5・60代と見られる男性、そして30歳前後の写真で見たパク・シフォンが現れた

仕立ての良い高級なスーツを身に纏い、御曹司って感じのパク・シフォン

3人の視線は私に向けられていて、キムさんやミヨンさんには気が付いてない様子だ


【初めまして‥‥
 私がAO AKUAの会長を務めますパク・スンホンと申します
 こちらに居るのが、息子のドンウォン
 孫のシフォンです
 我が社の広告を引き受けて下さり、なんとお礼を申し上げて良いか‥‥
 何かお困りの事はないですか?】


流調な英語で挨拶をしてきた会長のパク・スンホンさん

彼の差し伸べられた手を握り、私は会長であるスンホンさんを始め、社長であるドンウォンさんとシフォンさんとも握手をして、笑顔で挨拶を交わしたのだった

3人は、それぞれ仕立ての良いスーツや高級腕時計を身に纏い、如何にも会社を経営しているって感じの風貌に、格式が違うって言ったキムさんの言葉が私の頭を過った


【良かったら、どうぞ‥【お前達‥‥
 何で、こんな場所に!!】


ジェニファーが、ソファーに座る様に会長達に声を掛けようとした時だった

突然、社長であるドンウォンさんが韓国語で声を張り上げ、怒りに満ちた顔で私の背後を睨みつけたのだ

きっとキムさん親娘の姿が目に入ったんだろう‥‥

シフォンさんも、驚いた顔で立ち尽くしている


【どうした?
 何を怒ってるんだ?】

【いえ‥‥
 あの~、何でもありません!!
 会長が心配される事は何も‥‥】


飛び交う韓国語

どうやら、社長であるドンウォンさんはキムさん達を知っているようだけど、会長であるスンホンさんは何も知らないようだ

しかも会長であるスンホンさんには、ドンウォンさんは頭が上がらない様子が伺えた


【どうかなさいましたか?
 そうそう、こちらは今回RURIの通訳としてお願いしたキム・ヨンソさんと、RURIのアシスタントのキム・ミヨンさん
 お二人は韓国の方ですから、もしかしてお二人とご面識があったんですか?】


事情を分かっていながらのジェニファーの言葉に、シフォンさんのお父様であるドンウォンさんは焦りが汗に出たのか、ハンカチで汗を拭いながら何でもないですっとカラ笑いをしたのだった


【ミヨンさん‥‥
 彼等にお茶を出してあげて!!】


私は背後に居るミヨンさんに声を掛け、3人にお茶を出すように指示を出す

さて、役者は揃った

これから、どうやってミヨンさんとシフォンを2人っきりにするかが問題だ