その後、香澄は卓球部に入部した。
親は、意外とあっさり認めてくれた。

香澄が放課後の部活に行くと、この前はいなかった人がいた。
「やぁ。君が新入部員の香澄ちゃんだね。」
その人は、今までに見たことのないほどの美男子だった。
「あぁ、この人、秀(シュウ)っていうんだけどね。部長なんだ。」
晴香がすぐに説明した。
「よろしくお願いします、秀さん」
「あ~呼び捨てでいいよ。この部活は名前でしかよんじゃいけないから。一に卓球、二に友情だからね。」
香澄は秀のいうことがよく分からなかった。ただ、キザ系ということは分かった。


ある日、香澄は真志に話しかけられた。
「ラリーやるか?」
香澄には、その一言がどれだけうれしかったことだろう。
あの真志が、誘ってくれた。 
あの無口の真志が。
なにか裏にありそうだ、
と思ったけど、周りを見るとワークルームには2人しかいなかったため、しかたないから私を誘ったんだろうな、と香澄は思った。
「う、うん・・やろ。」
声が裏返った。
今、ワークルームには
2人だけ。
2人っきり。
緊張して球を何回もとばしてしまった。
真志の顔が見られない。
どんな表情をしているのだろう・・。