「そうだなぁ、じゃあ着替えさせてよ」

 「きっ着替えぇっ?」

 「いいだろう? 俺の女なんだから」

 「そういうのは、学校じゃなくて」


 違~うっ、逃げ方がおかしいっ。


 「家だったら、やってくれんの? 楽しみぃ」


 にこやかに微笑む彩並寿。


 「ヤダ! そんなことしないっ」

 「お前さぁ……マジで俺のこと好きなのか?」

 「そっそうに決まってるじゃん」


 何かこの流れ、ヤバくない?


 「証拠は?」

 「しょっ証拠? そんなこと急に言われても……」

 「だったら疑われるようなことしてんじゃねぇよ。
 今日、家に来い。ウソかどうか確かめる」


 たっ確……!?

 そっそれは、えーと…………つま……り……?




 ダメ! 絶対ダメ!!

 私には星哉がいるし、奈々とは友だちだもん。




 ていうか、奈々のために私はこうして好きでもない彩並寿と

 つき合ってるフリしてるんだし?

 でも、ここで断ったら、全部ばれて、何もかもが……?





 「寿……あ、れ……?」



 もう教室には、誰もいない。

 どうしよう、やめた方がいいかなぁ。

 奈々に相談したら、やめるべきだって言うと思う。

 でも言い出したのは私なのに、相談するときには自分の身が危なくなったから、

 奈々に止めて欲しくて言うっていう感じで、すごいヤダ。





 行くしか……ないね。





 行って、ギリギリのところで自分の意図とか全部話して、

 奈々がどれだけ傷ついたのかとか、話してみよう。

 そしたら、真摯な謝罪が聞けるかもしれない。

 私、彩並寿を結構振り回したし、ちょっとは懲りるよねぇ。