だって、好きな人が自分を意識してくれてるんだよ??

 テンション上がんなかったらホンキじゃないって。


 「はう~ぅ……全然近づけないよぉ……」


 お昼休み、いつも通りに奈々が私の前でお弁当箱を開けたのは十分前。

 私のお弁当はそろそろ空なのに、箸でつついてはいるんだけど奈々のお弁当は全然減ってない。

 奈々は一日にして悩める乙女に大変身。

 友だちだけど、童顔で背は小さいし、髪は染めてもいないのに栗色だし、妹みたいって思うことがある。

 私、一人っ子だから、奈々みたいな妹が欲しかったり……


 「思い切って声かけてみれば?」

 「何て? 話題がないよぅ」

 「自己紹介すればいいじゃん」

 「登校初日だもん。自己紹介いっぱいされてると思うし、奈々なんか一瞬で忘れられちゃうよ」


 箸を置いて、奈々は頬杖をついちゃった。


 「だけど、しないよりはマシでしょ? 積極的に行かなくっちゃ!!」

 「そういうミッキーは、進展ないねぇ」

 「えまっまぁ……それは……私は現状で満足してるし?」


 今日は収穫あったしね。


 「奈々はダメなんでしょ?」

 「……分かんない」

 「分かんないって……」

 「出遅れちゃったカラ焦ってるの」

 「まだ全然間に合うよ。彩並くん来てから数時間しか経ってないんだし」

 「アレ見てよ~」


 奈々が口を尖らして視線を飛ばした。

 奈々の視線の先を見る

 と、あらまぁ……


 「ホントォ!? ホントにお家行ってい~の?」

 「いいけど、高いよ?」


 鼻に掛かった鋭い声で微かな微笑みを浮かべている転校生。


 「いくら?」

 「金はいらない」

 「え、何持ってけばいいの?」

 「アンタが払える一番高級なもの」

 「高級~? アルマーニのスーツとか?」

 「腐るほど持ってる」


 あらまぁ、ハイソな会話ですコト。

 私たちにはハイソックスで精一杯だっていうのに。


 「レベルが違うよぉ」