ダメって、断るより前に、リュースケくんの意識は私なんかになかったんだ。

 日下部さんがチリトリを持って階段を近づいてくる。


 「ハイ」

 「サンキュー」


 掃除が終わってしまった。

 放課後にも、会えない。



 つくったケーキは……?





 どうすればいい?

 自分で、食べるの?





 泣くにも泣けなかった。

 だって、まだよく分ってなかったんだ。




 リュースケくんのホントの気持ちが。





 次の日、学校に行った私は凄く変なみんなの態度に気づいた。


 「リュースケ、彼女が来たぞ」


 かっ彼女っ!?


 「チゲェし」


 ビックリしてリュースケくんを見ると、怒ったような顔をしてた。


 「呼び出されたの知ってんだぞ」

 「行ってねぇし」

 「サッカーしてるとき抜け出したじゃん」

 「あれは水飲みに」

 「ウソウッ!」


 リュースケくんが友だちのお腹を殴った。


 「いてぇっ。テメ何すんだよ!!」

 「ふざけんな。誰が彼女にすっかよ! こんなドブスッ!!」




 ド……ブス…………




 途端に様子を見ていただけのクラスメートが静かに笑いだす。