「半端な感情だったら、最後までやってたと思う」


 どんな言い訳だよ?

 自分で自分が笑えてきた。

 でも仕方ない、これが真実だ。




 ここから出て行くとき、俺は不誠実な男になる。

 そんなレッテルは転校早々貼られてると思うけど、

 マジな意味で、軽い男を演じてやる。




 新山は俺が言った言葉の意味を履き違えるかもしれないけど、

 真実は俺の心の中にあればそれでいい。

 あんな奴に恋した自分がバカだったと思えるくらいになってくれれば、

 それに越したことはないからな。





 新山のことは忘れよう。





 「先生ありがとうございました。体調良くなったから、教室戻ります」


 保健室のドアを開ける前、気づかれないように深呼吸をした。

 教室に着く前に学年の女どもに捕まって、えらいことになった。


 「体調悪いの?」

 「あ? バックレてただけ」

 「マァジィ? 四時間もぉ?」






 ハッキリ言って、ウザイ。

 どこで何してようがいいじゃねぇかよ。

 テメェは俺の親かっつーの。






 辟易しながら顔に出さないのは社交界でついた……というかつけさせられた技。

 モメごとはもっとメンドイから、なるべく、な?

 しかし教室が近づくと鉄の仮面も、ぐにゃっと曲がりそうだった。

 すでにドアが開いている教室に入るのは簡単だったけど、

 新山はとっくに俺の気配に気づいてるようで、机から顔を上げようとしない。

 次の授業の教科書開いて眺めている。